対泉院(八戸市)概要: 貴福山対泉院は青森県八戸市新井田寺ノ上に境内を構えている曹洞宗の寺院です。対泉院の創建は正平23年(1368)、根城南部氏の家臣新田政持が山梨県倉見山に開いたのが始まりと伝えられています。
明徳4年(1393)南部氏が本拠だった甲斐国から根城に居城を移し際、新田氏、対泉院とも随行したと思われます。
対泉院は新田氏の菩提寺として庇護され寺運も隆盛しましたが寛永4年(1627)に根城南部氏が遠野城(現在の岩手県遠野市)に移封となり新田氏も従った為一時衰退します(遠野でも対泉院が創建しています)。その後、盛岡藩(藩庁:盛岡城)初代主南部利直によって再興され用室泰存禅師が中興しています。
現在の本堂は明治44年(1911)の火災で焼失後、火の元の子供だった中村松太郎が対泉院を再建すべく大工棟梁に弟子入りし昭和25年(1950)にようやく念願成就し再建したという美談が残っています。
対泉院山門は文化8年(1811)までに建てられていたもので、三間一戸、入母屋、銅板葺、上層部には花頭窓、高欄付、下層部には仁王像安置(文化8年寄進)、上層部には十六羅漢安置(文化8年安置)、禅宗様の八脚楼門建築で八戸市内に残る3棟の楼門建築の1つとして貴重な存在で昭和48年(1973)に八戸市指定有形文化財に指定されています(※平成29年:2017年に改めて青森県重宝に指定されています)。
又、境内に建立された戒壇石と餓死萬霊等供養塔は天明3年(1783)に建てられ裏面には当時の対泉院領で飢餓が起こり大きな被害を受けた詳細(天候異変、作柄、庶民の食生活、病死者数、餓死者数、社会不安の状況、米の相場、今後の教訓等)が記されているもので昭和63年(1988)に青森県指定史跡に指定されています。対泉院境内には世界最古の花とされる2千年前の古代蓮「大賀ハス」が移植され開花に成功しています。
八戸御城下三十三観音霊場第17番札所(札所本尊:千手観世音菩薩・御詠歌:有難や 誓いは此処に 貴福山 五障の誓いも 晴るる此寺)。山号:貴福山。宗派:曹洞宗。本尊:釈迦如来。
【 参考:サイト 】
・ フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
【 参考:文献等 】
・ 現地案内板(山門)-八戸市教育委員会
・ 現地案内板(戒壇石)-八戸市教育委員会
・ 現地案内板(餓死萬霊等供養塔)-八戸市教育委員会
・ 現地案内板(太古のいのち大賀ハス)
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