新むつ旅館(八戸市)概要: 新むつ旅館は明治31年(1898)に建てられた 木造2階建て、切妻、平入、桁行6間、建築面積189u、内部は1階が帳場、2階には3列5室の客室が配された建物です。小中野は古くから船着場があった地域で船乗り相手の女郎屋が軒を連ねたことで風紀上の理由から明治28年(1895)新地に遊郭が設けられました。新むつ旅館の前身である「新陸奥楼」は33軒あった遊郭の1つとして建てられたもので東北屈指の歓楽街とされた小中野町の新地の歴史を今に残す貴重な建物です。一見普通の和風建築に見ますが、内部には吹き抜けや空中廊下(ブリッジ)、天窓、2又階段(行きの客と帰りの客が顔を合わせない工夫)が設えられ、 床の間や釘隠しなどの細部や出桁造によって大きく張り出した庇、桁に付けられた照明、鏝で仕上げられた欄間、1階下屋庇軒先、戸袋、出窓、ムクリ付の玄関屋根など凝った意匠が施され当時の遊郭建築の名残が随所に見ることが出来ます。新むつ旅館は明治時代に建てられた数少ない遊廓建築の遺構として貴重で「再現することが容易でないもの」との登録基準を満たしている事から平成15年(2003)に国登録有形文化財に登録されています。又、八戸市の町並みに大きく寄与している事から第18回(平成18年度) 八戸景観賞(特別賞)に受賞しています。
|