ふかうら文学館(太宰の宿・旧秋田屋旅館)概要: ふかうら文学館は昭和5年(1930)に"秋田屋旅館"として建てられた建物です。太宰治の兄である津島文治と秋田屋旅館の主とが中学生の同級生だった縁で太宰は2度秋田旅館に宿泊し、1度目は昭和19年(1944)で小説「津軽」の随筆中に、2度目は昭和20年(1945)で生家(現在の斜陽館)である金木町(現在の五所川原市)に疎開する途中に宿泊し、「津軽」でも秋田旅館のシーンが描かれています。
旧秋田屋旅館の建物は木造2階建て、寄棟、金属板葺き、1・2階とも道路側が全面ガラス入りの開口部で手摺が回り、2階には屋根の下に下屋庇を設える事で奥行きが感じられるような工夫が見られます。正面の玄関屋根は唐破風の格式がある形式で非日常空間を演出しています。
現在は「ふかうら文学館」として町の観光施設として整備され内部には太宰が実際に宿泊した当時のままに再現した部屋や、太宰治、大町桂月(高知県出身で、近代日本の詩人、歌人、随筆家、評論家、深浦町に滞在し十二湖や日暮山:現在の日本キャニオンを絶賛した)、成田千空(青森市出身、俳人、青森県文芸協会理事長)などの資料を展示し一般公開されています。
旧秋田屋旅館は昭和初期に建てられた旅館建築の遺構として貴重な事から平成15年(2003)に深浦町指定有形文化財(建造物)に指定されています。
|