猿神鼻岩洞門(深浦町)概要: 猿神鼻岩は猿の横顔に似ていることから名づけられた大岩で北前船の風待湊である深浦湊の象徴的な存在で古くから信仰の対象となってきました。当時は円覚寺(津軽三十三ヶ所観音霊場第十番札所)と共に深浦の名勝地としても知られる一方で海に張り出すように位置していた為に陸路としては難所でもありました。明治時代に入り交通量が増大すると猿神鼻岩が障害となった為、洞門(穴門)が求められ明治25年(1892)から明治39年(1906)に行われた能代道改修工事の際に掘削され、深浦湊への物資が容易に運搬できるように計画されました。
その後、湊の整備が進むと海岸から離れ当時の景観が大きく損なわれる結果となりました。往時の猿神鼻夕照は深浦十二景(吾妻濱錦石・猿神鼻夕照・無為館松風・崩濱岩清水・櫻澤春曙・磯崎川納涼・観音堂霊木・岡崎山暮雪・入前崎帰帆・平島白鴎・笠形山秋月・宝泉寺晩鐘)に数えられ、石碑には「奇岩怪石湾東に聳え、岩上の古松翠影を波に漂はし、一条の道路岩を穿通して三個の洞門を作す、夕陽沈むこん岩に波に松に絶景の光彩を添ふ。」とあります。現在、猿神鼻岩洞門の周辺は整備され手づくり郷土賞を受賞しています。
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