徳玄寺(むつ市)概要: 齢香山徳玄寺は青森県むつ市新町に境内を構えている浄土真宗大谷派の寺院です。徳玄寺の創建は文禄3年(1594)、加賀出身の僧により開かれたのが始まりとされます。当初は五戸石沢にありましたが寛永2年(1625)に現在地に境内を移しています。
戊辰戦争で新政府軍に敵対した会津藩(藩庁:鶴ヶ城)は廃藩となり藩主松平家は改易となりましたが、明治2年(1869)9代藩主松平容保の嫡男容大が家名存続が許され斗南領3万石が与えられ初代斗南藩主に就任しています。
藩主といっても当時の容大の年齢は僅か3歳だった事から、政務は家老達により運営され、財政難もあり円通寺(恐山菩提寺の本坊)に仮の藩庁と藩主の居館が設置されました。
しかし、円通寺は曹洞宗で戒律も厳しかった事から食事では獣肉や魚介類の禁止、結婚の禁止、静寂を常としました。その為、若年の容大が生活するには無理があった為、比較的戒律がゆるい徳玄寺で食事を摂り、大声をあげたり、走り回れる遊び場となりました。
又、徳玄寺の境内では斗南藩の家臣達の会議場となり将来の斗南藩の行く末について篤く議論された場にもなりました。明治4年(1871)に廃藩置県になると、藩主はじめ多くの斗南藩士をこの地を離れた為、再び静かな境内を取り戻しています。
山門は切妻、鉄板葺、一間一戸、四脚門。本堂は入母屋、鉄板葺、平入、桁行6間、正面1間向拝付、外壁は真壁造、白漆喰仕上、向拝木鼻には獅子と象の彫刻が施されています。境内には青森県むつ市出身の映画監督川島雄三の碑が建立されています。山号:齢香山。宗派:浄土真宗大谷派。本尊:阿弥陀如来像。
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