長勝寺

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概要・歴史・観光・見所

長勝寺(弘前市)概要: 太平山長勝寺は青森県弘前市西茂森に境内を構えている曹洞宗の寺院です。長勝寺の創建は享禄元年(1528)、大浦盛信が父光信の菩提を弔うため菊仙梵寿を招いて開山したのが始まりと伝えられ寺号は光信の法名「長勝」に因むとされます(光信の法名は「長勝」の二字)。

当初は本城だった種里城鰺ヶ沢町:種里城の跡地には光信公御廟所が聖地として残されています。)の城内にありましたが津軽為信が大浦城に移った際、大浦に移し、さらに慶長16年(1611)弘前城築城に際し、城の裏鬼門(南西=坤)に当る現在地に移されました。

長勝寺は弘前藩主である津軽家縁の寺院として重要視され、弘前城の裏鬼門鎮護の役割だけでなく、長勝寺を中心に構成された禅林街(曹洞宗33ヵ寺で構成されている寺町)全体が弘前城の出城的機能を持っていました。

城下町と禅林街の境には土塁が築かれ、西側には堀、北側は断崖、東側は低湿地帯となっていて防衛施設として役割が期待されました。長勝寺は弘前藩主津軽家の菩提寺だけでなく祈願所でもあり病気平癒や、大飢饉による餓死者の供養なども行われ藩内曹洞宗の僧録所としての格式も持ち江戸時代には寺運も隆盛しています。

安政元年(1854)には11代藩主津軽順承の仮養子で世子である津軽承祐(一門である津軽順朝の長男)が死去すると長勝寺に埋葬され、藩主以外の一族の菩提寺だった事が窺えます(藩主の墓碑は報恩寺に建立され戦後に現在地に遷されています)。

現在も長勝寺境内には多くの建物や寺宝が残されていて、長勝寺の象徴的な存在である三門は寛永6年(1629)、2代藩主津軽信枚によって建立されたもので、三間一戸、桁行9.7m、梁間5.8m、入母屋、とち葺きの八脚楼門形式、外壁は真壁造板張り、上層部には高欄と「太平山」の山号額、下層部は花頭窓付、左右に仁王像が安置されています。

構造的には岩木山神社楼門と類似点有、江戸時代初期の寺院楼門建築の遺構として大変貴重な事から昭和11年(1936)に国指定重要文化財に指定されています。

長勝寺本堂と庫裏は、慶長年間(1596〜1614年)に建立されたと伝えられる建物で本堂は曹洞宗の本堂建築としては全国的に見ても最古級とされ、木造平屋建て、入母屋、こけら葺、平入、桁行22.7m、梁間16.3m、外壁は真壁造り白漆喰仕上げ、腰壁は縦板張り、江戸時代初期の寺院本堂建築の遺構として大変貴重な事から平成5年(1993)に国指定重要文化財に指定されています。

庫裏は文亀2年(1502)に建てられた大浦城の台所を移築したものと云われている建物で、木造平屋建て、切妻、茅葺、平入、桁行18.8m、梁間13.9m、室町時代後期に建てられた庫裏の遺構として大変貴重な事から平成5年(1993)に国指定重要文化財に指定されています。

長勝寺御影堂は寛永6年(1629)に造営されたもので、宝形造、銅板葺き、桁行三間、梁間三間、外壁は真壁造白漆喰仕上げ、花頭窓付、内部には極彩色に彩られた須弥壇に厨子が置かれ弘前藩初代藩主津軽為信の木像が安置されています。御影堂は江戸時代初期の御堂建築の遺構として大変貴重な事から昭和61年(1986)に国指定重要文化財に指定されています。

長勝寺厨子堂は百沢寺の本尊を祭る為に寛永15年(1638)に3代藩主津軽信義によって造営された建物で、元々は大堂(現在の岩木山神社拝殿)内部に設置されていましたが、明治時代の神仏分離令により百沢寺が廃寺となり、当寺に移築されました。厨子堂は江戸時代初期の厨子建築の遺構として貴重な事から昭和32年(1957)に青森県重宝に指定されています。

長勝寺は境内背後にある5棟の津軽家御霊屋(入母屋、妻入り、桁行2間、梁間2間)など多くの文化財に囲まれています。津軽八十八ヶ所霊場第50番札所(札所本尊:十一面観世音菩薩・御詠歌:天が下 拝まぬ人ぞ なかりけり 恵みあまねき 南無観世音)。山号:太平山。宗派:曹洞宗。本尊:釈迦如来。

長勝寺の文化財
・ 長勝寺本堂−慶長年間−国指定重要文化財
・ 長勝寺庫裏−慶長年間(大浦城台所移築伝)−国指定重要文化財
・ 長勝寺三門(楼門建築)−寛永6年−国指定重要文化財
・ 長勝寺御影堂(附厨子及び須弥壇)−寛永6年−国指定重要文化財
・ 環月臺(初代藩主津軽為信室:御霊屋)−寛永5年−国指定重要文化財
・ 碧巖臺(2代藩主津軽信枚:御霊屋)−寛永8年−国指定重要文化財
・ 明鏡臺(2代藩主津軽信枚室:御霊屋)−明暦2年−国指定重要文化財
・ 白雲臺(3代藩主津軽信義:御霊屋)−寛永15年−国指定重要文化財
・ 凌雲臺(6代藩主津軽信著:御霊屋)−宝暦3年−国指定重要文化財
・ 長勝寺銅鐘−鎌倉時代後期−国指定重要文化財
・ 三尊仏及びその厨子堂−慶長8年・寛永15年−長野県重宝
・ 薬師如来三門本尊−寛永5年に三門に安置−長野県重宝
・ 津軽為信木像−慶長11年(伝承)−長野県重宝
長勝寺黒門(高麗門)−江戸時代中期−弘前市指定有形文化財
・ 長勝寺境内−国指定史跡

八脚門を簡単に説明した動画

【 参考:サイト 】
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
【 参考:文献等 】
・ 現地案内板(津軽家霊屋)
・ 現地案内板(三門・銅鐘・本堂・庫裏)
・ 現地案内板(史跡 津軽氏城跡 弘前城跡長勝寺構)-弘前市

長勝寺(弘前市):写真

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長勝寺総門は赤色の屋根が印象的です。 長勝寺の象徴的な存在の山門(楼門) 長勝寺山門(楼門)斜めからの全景画像 長勝寺本堂は工事中です
長勝寺蒼龍窟には五百羅漢が安置しています 長勝寺境内に設けられた津軽家霊廟群 長勝寺津軽家霊廟である環月臺 長勝寺境内に建てられている鐘楼

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